インターネット講座 -(9)-
桃太郎と夫婦家族論(2)

 
 「家族の重要性」も説く〜女性の母性表す「桃」 〜

 桃太郎が股(もも)から生まれたと言わず、桃から生まれたという。 音が同じであることからえん曲な表現になったのだそうだ。そういえ ば、江戸時代の桃太郎は、桃を食べて若返ったおばあさんから生ま れたと書いてある。いわゆる「回春説」が本来の姿なのだ。
 たしかに、桃から人間が生まれるわけはない。桃太郎が特に桃から 生まれたと説くには、それ相当の理由があってのことだろう。

 桃太郎の母は、古事記に出てくる日本の桃である。日本の国づくり をした「イザナギの命」を追いかける鬼どもを追い払い、神様として祭 られた桃は、その任務として日本の津々浦々に流れ着き、桃太郎に 成長し鬼を退治することとなる。

 3月3日は「桃の節句」、女の子の祭りである。桃花の美の装い、ふく よかな桃の実の香りはなんと言っても円熟した母性の肌を思い出 す。このように桃は女性を表し、桃太郎は股(もも)から生まれるので ある。

 ところで桃には「美容と健康」に関する薬学的効果があるという。ア セモには昔から桃の葉のお湯がよいと言われる。これは葉の中に含 まれるタンニンがお湯に溶けてアセモやタダレに効き、皮膚が滑らか になるのだそうだ。現代でも「西洋のすももの実の干したもの=プ ルーン」は健康食品として広く知られている。
 中国では、桃を常食として永久に若く美しいという「西王母」伝説が ある。ダイエットに励む女性にとって神様のような存在であるが、一度 チャレンジしてみてはいかがだろうか。

 桃にはもう一つ意味が隠されているという。それは家族という単位で ある。桃太郎物語は家族の重要性を説く。桃太郎は、おじいさんとお ばあさんにわが子として育てられる。今の親であれば、手塩にかけた 桃太郎を、危険な鬼が島へ行かせないであろう。良い学校に入れ良 い大学に入れ、有名大企業に就職させるのである。ところがこのじい さん、ばあさんは、鬼退治に出掛けたいと言う桃太郎を快く許し、なん とキビダンゴまで与えたのである。ボランティア精神を見抜いた親だ からこそ、桃太郎は自立し大仕事を成し遂げたのである


トップ 戻る 進む