インターネット講座 -(4)-
桃太郎と鬼の研究


自分の中に5種類の鬼〜「5つの宝」取り戻す鬼 退治〜


 桃太郎物語は人間が幸福を得るためには、5つの宝が必要であると 説いている。知恵、仁徳、勇気、健康そして富(経済基盤)である。 

 ところが、この宝は5種類の鬼「病鬼、餓鬼、邪鬼、悪鬼、暴鬼」によ り 取られてしまう。それではいつまでたっても人間は幸福になれないの で、鬼を退治して5つの宝を取り戻す必要がある。これが東洋思想に よる桃太郎の鬼退治である。

 私たちは鬼退治をしているからこそ、健康で豊かな生活ができる。し かしいつの時代にも平和を乱す鬼がいる。つまり鬼は根絶できないの である。そこで桃太郎が皆に成り代わり、いつまでも「若く、勇ましく、 健康であろう」と活躍する。私たちはアクティブ(前向き)である桃太郎 にしびれる。

 21世紀を目前に控え、日本人は今、自信を失っている。鬼がはびこ る 社会に身も心も支配され、鬼退治どころか鬼と迎合さえしているよう に見える。

 「心の中に鬼を作らぬように、常に心の鬼退治 をして平和な人格を つ くろう」

 この言葉は、1914(大正3)年、明治・大正の元勲・大隈重信侯が、 四 国高松の鬼無駅で行った桃太郎に関する演説の一部である。

 「心の中の鬼は、心の善・悪と同居している。悪心の鬼を退治するこ と はなかなか難しい。この世にはたくさんの鬼がいる。病鬼、災害など は鬼の仕業である。自分のことだけ考えて人の事など少しも考えない 不道徳が一番の原因である。この不道徳が鬼の正体である」と諭して いる。

 大正3年は第一次世界大戦で、日本の中国侵略による成り金景気 (株式高騰バブル)のころである。当事は明治維新から約半世紀、現 在と一緒で、社会の制度疲労が問題となった時期でもある。

 そして歴史は繰り返す。現在はまた戦後半世紀の制度疲労が問わ れ、心の中の鬼退治が求められている。

 本当の鬼退治は自分自身の中にあること。そのためには「仁徳と勇 気」が必要であること。桃太郎は時代を超えて私たちに教えくれるの である。


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