インターネット講座 -(10)-
桃太郎とアクティブ人生論(3)

 
 激動の時代乗り切る知恵〜日本再構築のヒント 学べ〜

 現在の日本は深刻な不況の中にある。銀行・証券・保健などの金融 機関の破たんは1930年代の大恐慌を連想させるが、今世紀末の社 会変革は単に景気循環の一部としてとらえてはならない。
 まさに100年に1回の大きなパラダイ ムシフト(思想・規範の枠組み の変化)なのである。それは従来型資本主義の崩壊であ り、21世紀 型新経済システムへの移行過程でもある。

 すでに始まっている「新しい時代」は、古いシステムを破壊しなが ら、新しいシステムへと移行する。

 当然、「痛み」を伴いながらの改革であるが、私たちはこの変革の時 期をどのように生きるのか戸惑っている。桃太郎物語は、われわれが 繁栄の中で失ってきたもの、「豊かな自然、信頼を基本とした人間関 係、親子とのきずな等」をどう取り戻すかをたとえ話で説く。

 今はなきマザーテレサが日本を訪問したとき、感想を聞かれて「日 本は貧しい国」だと言ったと聞く。
 その真意は、「物質的な満足」ではなく「精神的満足」を欠いていると いう表現であったという。

 桃太郎は過去の歴史の中では、時代の変わり目に必ず復活してい る。それは激動の時期を生き残る知恵を持っているからである。桃太 郎が常に主体的に明るくアクティブ(行動的)であることに、われわれ はしびれるからである。

 それは、日本社会の根底に存在する「組織と個人との関係」の改革 の必要性である。具体的には「個人 の自立性の確保・チャレンジの自 由・多様性の是認」である。以上3点を兼ね備えたものが 「桃太郎」精 神である。「金太郎飴(あめ)人間」(個性を押し殺しどこを切っても同 じ顔)が今の日本をじゅ縛している。

 多様化した時代を乗り切るには「桃太郎集団」が必要である。「個」 を大事にした経営を心掛けるアサヒビール会長の樋口廣太郎氏は、 社員に「桃太郎集団」になろうと呼び掛けている。(「樋口廣太郎語録」 ソニー・マガジンズ刊)

 「自分自身の個性を強く意識し、人 それぞれの価値観や趣味が行動を決める時代」は心の 充足を求める。私たちは21世紀の日本再構 築のヒントを、桃太郎物語から学び、実践したいものである。



 塾生の皆様、今回の教材を持って桃太郎と鬼の研究講座を終了させ ていただきます。
 8ヶ月間に渡っての受講、ありがとうございました。

 この講座を受講された方には「桃太郎歴史発見研究会会員」として、研 究会特別イベントの際はご案内差し上げますので その節はよろしくお願いします。


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