インターネット講座 -(6)-
桃太郎と人間の幸福論(2)


「智・仁・勇」を「猿・犬・雉」にたとえ〜「福祉の基 本的な要素」訴 える〜


  桃太郎物語は、時代の流れにそって意識的に変容されてきた。し か し、本当の桃太郎は「素朴、単純、そしてバイタリティー」を持ってい る。桃太郎が諸悪の象徴である鬼を退治する。その強さと正義は民 衆のあこがれであった。鬼退治は侵略することではない。
 昔話や民話を教化、宣伝の道具として利用したり、そのために変容 さ せてはならない。

 戦後、桃太郎は日本の教科書から抹消される。桃太郎を利用した 当 時の偽政者たちの罪をかぶったからだ。「鬼畜米英」と鬼にしたてあ げられたGHQ(連合軍総司令部)は、桃太郎を日本人の心から取り 上げ、米国流の民主主義を押し付けた。日本民族のスピリット(精神) を奪った結果が、現在の日本の姿なのだ。

 このような精神的荒廃の中、桃太郎を民衆の子として研究「桃太郎 主 義幸福論」として発表した人物がいる。小久保桃江氏(95)である。

 小久保氏は明治35年生まれで、桃太郎研究60年のキャリアを持 つ。
 小久保氏は、鬼退治する桃太郎を心から尊敬する桃太郎の弁護人 であり、桃太郎物語の研究から福祉の原点を発見、「桃太郎主義幸 福論」としてまとめる。

 「桃太郎主義幸福論」によれば、日本童話の桃太郎を健康に、物的 資源をキビ団子に見立て、「智・仁・勇」を「猿・犬・雉(きじ)」にたとえ、 これを妨害する鬼を退治する。人間の幸福を祈る気持ちを「5つの福 祉の原点」として表現する。
 この考え方を、西洋文明では「人的資源・物的資源」、それに「智・ 情・ 意」の精神力とし「文化・平和・国防」に利用、近代国家の運営に役立 てている。桃太郎物語が世界の人々に喜ばれる理由は、われわれが 生活していくうえで欠かせない「福祉の基本的な要素」を桃太郎を通 して会得できるからである。

 桃太郎に一生をかけた小久保氏は、学者でも文学者でもない。消 火 器具販売会社の現役社長である。桃太郎の思想は人類救済であると 考え、それを福祉の原点としてとらえ実践する小久保氏は、まさに 「現代の桃太郎」と言っても過言でなかろう。


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