インターネット講座 -(1)-
桃太郎のルーツ(1)
閉塞感ない明るさ魅力「生
き
方の
原理説く物語」
桃太郎物語が日本の教科書からはずされてから、半世紀になる。
こ
の間、高度経済成長を果たした日本社会は「モノ」ぐくりの制度として
は大成功を収めた。しかし、今その制度疲労が社会問題となってい
る。
「モノ」の豊かさが必ずしも「心」の豊かさに結びついていないからで
ある。今、世の中は閉塞(へいそく)感でいっぱいである。子供のいじ
めは一向にやむ気配はない。
子供たちの閉塞感は、大人社会の投影でもある。戦後の教育で
失った「人間の本質・本能とのかかわりの問題」が原因しているので
はないだろうか。金の亡者に成り果てたわれわれ大人に、善と悪(し
て良いことと悪いことの分別)を議論する認識が欠けているのである。
桃太郎物語は、生き方の原理を説いている。世の中は善と悪の戦
い
であること。病気があると健康は保てないこと。平和を保つためには、
鬼退治が必要であることなど人間の英知を語っている。
さらに桃太郎物語は、人生をアクティブに生きる知恵を説いている。
イヌは道徳、サルは知恵(偏差値ではないEQ=情動指数)、キジは勇
気を表している。私たち現代の大人が失ってしまったことばかりだ。
桃太郎歴史発見研究会では、感ずるところがあって、私たち日本人
が21世紀をどう生きたら良いのかを、「桃太郎さんの知恵」から学ぶ
ことにした。
では初めに、桃太郎物語のあらすじをご覧いただこう。
「むかしある所に、おじいさんとおばあさんがいた。じいさんは山へ
芝刈りに、ばあさんは川へ洗濯に出た。ある日ばあさんは川で洗濯を
していると、上流から大きな桃が流れてきた。ばあさんはその桃を取
り上げ、家へ持って帰って食べようとすると、中から男の子が飛び出
した」
「この子を『桃太郎』と名付け大切に育てる。桃太郎は成長し強い若
者になった。ある日桃太郎は鬼ヶ島征伐を思いたった。じいさんとば
あさんは、きび団子をつくり桃太郎を送り出した。途中、イヌ、サル、
キジと出会い、きび団子を渡し行動を共にする。そして鬼ヶ島に渡っ
た桃太郎は、鬼を懲らしめ宝物をお土産に凱旋(がいせん)する」
この桃太郎物語の魅力は、閉塞感が一切ない明るさである。
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